帽子屋がつくる、花の居場所

花器の「襟(えり)」を、自分の手で立て直す。広島・尾道で1948年から続く帽子メーカーが生んだインテリアアートブランド、MOBJE。ラフィア椰子や和紙でつくられるフラワーベースは、握ったり折り曲げたりして、飾るたびに表情を変えられる。パリの展示会でも注目を集めるこのブランドの魅力について、バイヤーに話を聞いた。

最初のラペルの衝撃

編集部: MOBJEって、まず見た目がすごく印象的ですよね。初めて見たとき、何だろう?どうなっている?と印象的だったのを覚えています。

バイヤー:  最初にLapel(ラペル)を知ったとき、発想がとても素敵だなと思いました。麦わら帽子の製法で花器をつくっているんですけど、形も自分で変えられて、気分に合わせてアレンジできる。カラーのチョイスもいつもセンスがいいんですよね。

編集部: わたしも、初めて見た時はこの発想とストーリーに感動しました。花器なのに「襟」という名前なのが面白いですよね。

バイヤー: そうなんです。襟を立て直して、「どのお花を、どう飾ろう」を毎回楽しめる。唯一無二のフラワーベースだと思います。

編集部: 素材はラフィアですよね。帽子の素材をそのまま花器に・・!

バイヤー: 定番のラペルはラフィア椰子で、今回のeditには、新作のケースもあります。もともと麦わら帽子をつくっている会社さんなのですが、素材の扱いはプロ中のプロ。手に取ると、帽子ならではの軽さと適度な張りがちゃんとあるんですよ。

一度手に取ると、「本当だ!帽子の素材!」とみなさん驚かれますね。

尾道の帽子屋さんから

編集部: そのルーツが広島の帽子屋さんなんですね。

バイヤー: はい、代々麦わら帽子を製作されている会社で。3代目の代表の方がMOBJEを立ち上げて、帽子の縫製技術をインテリアアートに展開されています。チャーミングさとセンスがとても素敵なブランドなんです。

編集部: 帽子の技術がオブジェになるって、発想の転換ですよね。

バイヤー: そこがすごいところで。握ったり折り曲げたりできる素材の質感って、帽子をつくってきた人たちだからこそわかるものだと思うんです。「触って、変えて、自分のものにする」っていう体験がプロダクトに組み込まれている。

同い年の友人

編集部: MOBJEの代表の方と、意外なつながりがあるとか。


バイヤー: 実は代表の方と同い年で、共通の友人もいたんです(笑)。それがわかったときは驚きましたね。

編集部: 世間は狭い(笑)。それはいつ判明したんですか?

バイヤー:  元々、リビングハウスでセレクトが始まった後に、やり取りをしていく中でわかって。さらにパリのメゾン・エ・オブジェにもMOBJEさんが出展されていて、そこでもお会いできたんです。そういうご縁は嬉しいですよね。やっぱり、ものづくりには当たり前ですが人が関わっていて。editの買い付けでわたし自身も緊張感を持って挑んでいた現場で、日本から遠く離れて海外で挑戦されていることへもリスペクトの気持ちと、改めてプロダクトの良さも感じました。

編集部: ちなみに、今回のセレクトのおすすめのポイントはありますか?

バイヤー: 今回、わたしのおすすめは、STAKKIです。スタッキは、重ねるという意味ですが、パーツを重ねていくとツリーの形になるオブジェ。この、積み木みたいにちょっとずれたりする感じも味が出るでしょう。普段はオブジェとして、ホリデーシーズンにはシックなクリスマスツリーとしてひと味違う演出ができる。

それに、黒というのもまた良いんですよね。柔らかい風合いがありながらも引き締まる。バランス感にセンスが溢れていて、うっとりしちゃうような気持ちです(笑)

編集部: 形をアレンジできるっていうのも、一貫してMOBJEらしいところですね。

バイヤー: そうですね。自分の手で触って、かたちを決められる。そこがMOBJEのいちばんの魅力だと思います。お店で実際に手に取って、試してみてほしいです。

MOBJE(モブジェ)

広島県尾道市の帽子メーカー・藤井製帽から2019年に誕生したインテリアアートブランド。ラフィア椰子や和紙などの帽子素材と縫製技術を活かし、フラワーベース、オブジェ、照明などを展開。パリの国際展示会Maison & Objetにも出展。

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